女性の働き方<扶養内勤務労働者の採用>

query_builder 2023/05/26
ブログ
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はじめに  


このブログにおいでいただき、ありがとうございます。  


みなさんの会社には、パートさんは働いていますか?

そのパートさんの働き方に満足していますか?  


私は、小さな会社の人事や労務の専門家、社会保険労務士事務所を開業しています。

主に採用とヒトの活用を専門に活動しています。  


現政権の少子化対策の中で、扶養される配偶者(主に主婦パートさん)にとっての「106万円の壁」が検討されました。  


私のところにハローワークの求人票作成のご依頼する会社も、扶養内の働き方を歓迎される経営者がほとんど。  


今回の記事は、今の女性の働き方である扶養内勤務、年金制度と合わせて書きたいと思っています。

歴史的な経緯

日本の厚生年金制度は、世帯主とその家族の老後保障という趣旨のもと世帯単位での設計で、夫婦2人が生活できるような給付水準で作られました。  


一方で、国民年金は個人単位の強制加入のしくみ。  

1階が国民年金である基礎年金、2階が働く人の被用者年金(厚生年金)と無理に統一したのが1985年の国民年金改正です。  


今の60代から上の世代は、男性が外で働き女性は専業主婦で働く夫を支える構図、夫が納めた厚生年金保険料は夫婦2人分のものでした。  


では、年金の原資である現役世帯の保険料はというと、

第3号被保険者(夫の扶養に入っている妻)は、保険料の負担はありません。

誰が負担しているのか。

よく勘違いされるのが、夫が妻の保険料も負担していると思われていますが、 単身者や共働きの配偶者も、同じ賃金水準であれば、専業主婦の世帯と同じ保険料を負担しています。


世帯主の配偶者の内助の功の保険料を、夫以外の労働者が共同で負担することに公平性がありません。  


20歳以上の大学生は、専業主婦と同様独自の収入がありませんが、国民年金保険は強制適用され、保険料は猶予(働き始めたら支払う)または世帯主が負担という仕組みです。

これと同じ原則がなぜ専業主婦には適用されないのか矛盾しています。

賃金アップの効果

日本の第3号被保険者(夫の扶養に入っている妻)は、まったく働いていない方が半分、パートタイマーで働いている方が半分です。  


その半分のパートさんの賃金の水準が引き上げられた事で、短時間労働者の社会保険の適用が大企業のみから、中小企業にも拡大されたことが影響。  


2022年の平均最低賃金は時給961円で、10年前より28%増え1000円台も間近となっています。  

週に20時間(1日5時間を週に4日)以上働くパートさんは、給料が8.8万円(年106万円)以上となると社会保険に加入することになり、手取り金額が少なくなります。 (5人未満の個人事業所や小規模な企業のパートさんはまだ適用対象外です)


また年収130万円を超えると、ほぼ無条件に第3号被保険者の適用が外れるため、社会保険に加入することとなります。

本来ならば、事業主負担もあることで有利な面もあり、将来の年金も増えるのですけどね。  


働かない優遇措置が残っていることで 本当は働きたい方の気持ちにブレーキをかけていると私は思います。  


女性の働きたい意欲を抑制する制度は早く撤廃してほしい。

扶養内勤務を希望する方はこの制度をよく知らず、なんとなく周りがそうだから扶養内で働いていますね。


それほど複雑になっているし、多様な働き方の現在の公平性に欠ける制度

経営者の本音

次に、会社側はどうでしょうか。


  労働・社会保険料は高い!会社が半分負担しているのですから。


賃金がこれから上がってくれば負担はもっと増えますね。  


経営者の本音は、フルタイムの人材を1人雇用するよりも、扶養内で働く人を2人雇った方が人件費を安くできるため、扶養内で働く人を積極に採用したい。


ある飲食店は、法人化したものの労働・社会保険料が高いため個人事業所に戻しました。さらに別のお店は社会保険料が支払えなくてお店が潰れてました。  


ちなみに、労働分配率(粗利益における人件費の割合)は大企業の平均は50%未満に対して、中小企業は70%台前半です。

高い人件費が経営を圧迫していますね。


その上、社会保険の適用拡大が進むと、社会保険料倒産が増える。  


ある銀行員さんが、「これからは人件費に負けないビジネスモデルでないと生き残れないな」とおっしゃっていたのが印象的です。

まとめ

女性の働き方についての考えをお伝えしました。  


従業員の採用は会社の未来を考えること。

会社の未来を託す人の働き方を一緒に考えることはとても重要です。  


今後、労働諸法令の改正がどんどんあります。


知らなかったでは済まないため、専門家を頼ってほしいです。    


令和の変化の激しいこの時代、経営者のお役に立ちたいと発信をしております。  


あなたの会社の従業員さんは今の働き方に満足していますか?

じっくり話をしてはいかがでしょう。  


社長の気持ちが伝わりますよ。

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