建設業における 2024年からの残業規制のポイント
はじめに
このブログにおいでいただき、ありがとうございます。
みなさんの会社は、勤怠管理正しく行なっていますでしょうか?
私は、小さな会社の人事や労務の専門家、社会保険労務士事務所を開業しています。
主に採用とヒトの活用を専門に活動しています。
来年の3月末に、建設業・自動車運転業務の残業上限規制の猶予が終了します。
そもそも残業の上限規制とは何か。
建設業と運送業はなぜ猶予があったのか。
今後はどう対応したらいいのか。
今回のブログは、建設業の経営者が不安に思っていることや、従業員の働き方がどう変化するのかについて、書きたいと思います。
残業時間の上限規制とは
平成31年4月1日、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律 「働き方改革関連法」の施工により、 「罰則付きの時間外労働の上限規制」が導入されました。
「働き方改革」も大きな目的
少子高齢化に伴う労働力人口の減少により、女性、高齢者、外国人も仕事に就きやすく労働参加を促すこと
そのため、仕事と家庭生活の両立を図り、少子化の原因である女性のキャリア形成を阻む原因の一つである男性の家庭参加を得るため、長時間労働を規制することが目的のひとつ。
もう一つ大きな目的は
過重労働による健康被害を防ぐこと。
そのために長時間労働に罰則を付け、誰もが健康的で人間的な生活を送れる世の中にする。
さて、これまでの建設業の働き方についてのルールはどうだったのでしょうか。
労働時間の大原則は、
法定労働時間→1日8時間、1週間40時間
法定休日→毎週少なくとも1回
これを超えたら、経営者は労基署に走って許可をもらわないといけません。 実際は残業をさせる度に労基署には行けないため、労使で締結した「36協定」を事前に労基署に届出をすることで、法定労働時間を超えて働かせることができます。 (これは、法改正によっても変わっていません。)
その「36協定」の内容は
原則 時間外労働は月45時間以内かつ年360時間以内
臨時的で特別な事情がある場合には、年6回まで限度時間を超える時間まで時間外労働を行わせることが可能でした。
特別条項付きの36協定を締結し労基署に届出が必要
改正内容
時間外労働の上限は月45時間・年360時間(原則は同じ)
臨時的な特別な事情があり労使が合意する場合でも、以下を守る必要があります。
時間外労働が年720時間
時間外労働と休日労働の合計が月に100時間未満
時間外労働と休日労働の合計が平均して1月あたり80時間以内(2ヶ月から6ヶ月平均して)
時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年に6回まで
わかりにくいですよね。
1年を通して常に、時間外労働と休日労働の合計は、すごく忙しい月でも100時間未満、まあ忙しい月でも2〜6ヶ月平均80時間以内にしないといけない。
これまでの建設業では他業種と同様、36協定の届出さえすれば残業は無制限にできてました。
ちなみに罰則は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金ですが、建設業は今のところ罰則規定はありません。
建設業も猶予期間の終了が
他業種の残業上限規制はすでに始まっています。
大企業は2019年4月から中小企業は2020年4月から適用。
建設業に5年間の猶予期間があったのは、仕事の特殊性と長時間労働や休日を取りにくい状態が恒常化していたため、すぐに新ルールを適用するのはハードルが高いためでした。
それでも、将来の担い手を確保するため、労働環境を改善し建設業を目指す人を増やし、離職率を下げる目的がある。
新しいルールに適用するには
来年の4月まで半年しかありません。どうしたらいいのでしょうか。
人員の確保
まずは今いる従業員を離職させない。
そのため、働かせ方を見直し、労働環境を改善、福利厚生を充実させることが必要です。
言うのは簡単ですよね。 従来のやり方を変えるのは至難の技でしょうが、やらないと潰れます、間違いなく。
採用方法を考える
求人広告、ハローワーク、求人サイトの求人内容を工夫すること。
求人内容の多くは会社側の要求ばかり。求職者から見てどんな会社なのか、どんな仕事をするのか、この会社に入ったらどんな未来を描けるのか と言った視点を変えての作成をお勧めします。
外国人材を雇用する
まだ外国人労働者を受け入れていない企業は、ぜひトライして欲しいと思います。 もちろん、専門家に相談くださいね。
労務管理を見直す
例えば、建設業は現場への移動時間は労働時間に含まれるのでしょうか
現場に向かうため複数人を乗り合わせる移動の場合は通勤時間とされ、労働時間とはなりません。 しかし、会社の指示のもと「事務所に7時集合」と指示した場合は7時から労働時間にカウントされます。
そんな細かいことと感じるかもしれませんが、労働力を確保するため労務管理をしっかりすべきです。
まとめ
来年4月からの建設業の残業時間上限規制についてお伝えしました。
正直、難しいです。
専門家である社労士に相談ください。
過去の働き方から、変形労働時間制をおすすめすることもありますし、採用の支援も経営者と一緒に考えてまいります。
しかし、この難局を乗り越えるのに一番必要なのは、経営者本人の何とかしたい!という気持ち。
そんな経営者の方のお役に立ちたいと思っています。
最後までお読みいただきありがとうございました
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