来年4月から求人募集時等に、労働条件を明示する内容が追加されます パート2
はじめに
このブログにおいでいただき、ありがとうございます。
みなさんの会社は、人材不足に悩んでいませんか?
私は、小さな会社の人事や労務の専門家、社会保険労務士事務所を開業しています。 主に採用とヒトの活用を専門に活動しています。
前回のブログでは、来年の4月から施行される「職業安定法施工規則」の対応についてご紹介しました。
今回はその後半について書いていきます。
有期雇用労働者を雇用している企業
令和3年「パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査」の結果によると、
パートタイム・有期雇用労働者を雇用している企業の割合は75.4%
そのうち「無期雇用パートタイムを雇用している」企業は51.4%
「有期雇用パートタイムを雇用している」企業は27.1%
「有期雇用フルタイムを雇用している」企業は23.2% となっています。
全体の7割強のうち、有期雇用労働者を雇用している企業はその半数ありますね。
今回の改正をもっと広く周知して欲しいところ。
さて前回のブログの復習となりますが、改正のポイントをおさらいします。
有期労働契約を更新する場合の基準(有期雇用労働者が対象)
入社時に有期雇用労働者として雇用する場合 (有期雇用労働者の更新時にも明示が必要)
現行は以下でOKでした。
<契約期間>期間の定め 有り(2024年4月1日〜2025年3月31日)
来年4月からは、
<契約期間>期間の定め 有り(2024年4月1日〜2025年3月31日)
契約の更新 有(業務量、勤務成績、態度、能力、会社の経営状況により判断)
更新上限の有無(有(更新3回まで/通算契約期間4年まで))
太字が追加部分です。
契約の更新の理由()部分は
「諸般の事情を総合的に考慮したうえで判断する」という抽象的なものではなく、
「勤務成績、態度により判断する」や「会社の経営状況により判断する」など、具体的に記載することが望ましいとあります。
更新の上限を設ける、または短縮する場合には 労働者にあらかじめ理由を説明しなさいということ。
更新することに期待を持たせるような契約はダメですよという意図です。
具体的にはどうなるの?
では、いつ明示したらいいのでしょうか?
<募集時>
求人票や自社ホームページでの募集、求人広告の掲載を行う場合
少なくとも
「契約期間の定め」が有る募集なのか、無期契約の募集なのか
有期雇用の募集であれば、契約の更新はあるのか、ないのか。
契約の更新の判断はどんな基準なのか。
通算契約期間の上限は〇年なのか、契約更新の回数の上限は〇年なのか。
以上の労働条件を明示することが必要です。
しかし、求人広告のスペースが足りない場合や、やむを得ない場合は 「詳細は面談時にお伝えします」と記載して 別のタイミングで明示することも可能です。
しかし、この場合注意点があり
求職者と面接する前までに 在職しているすべての労働者に上記の条件を明示する必要があります。
また、当たり前ですが面接の過程で、求人に明示した労働条件が変更となる場合は、変更内容を説明してくださいね。
<入社時>
労働条件通知書等での記載内容
「契約期間の定め」の有り 無し
「契約の更新」の有り 無し
「契約の更新の判断」はどんな基準なのか。
「通算契約期間の上限」は〇年なのか。
「契約更新の回数の上限」は〇年なのか。
以上の明示。
<更新時>
更新時に取り交わす労働条件通知書等でも同様の労働条件を記載してください。
この際に、前回の条件と変更になる場合もあるかと思います。変更後の条件で労働者と合意してください。
一方的に渡すだけ
労働者の話を聞かない
は、その後の争いの火種になりがちなのでNGです。
重要な更新の有無
明示するタイミングについて、ご説明しましたが、 明示内容の一番重要な部分と思われるのが
更新するのか、しないのか。
そもそも、会社はなぜ入社時に有期雇用労働として入社させるのでしょうか?
私の実感として、
面接では、どんな人かがわからない。数ヶ月その人物を観察してみたい。
と考える。
日本は簡単にクビにはできないことを経営者の皆さんはよくわかっておられます。
そのため、この人物が毎月給料を支払う価値があるかどうか見てみたい。
私も、同感です。
初めは有期雇用の契約で入社させることが一番だと思います。
会社にとっていい人材だなと思ったら、無期雇用に転換させるパターンですね。
逆に、従業員も会社を観察してますけどね。
しかし今回の改正で、初めから更新をするのかしないのかを明示することは、経営者にとって雇用計画がやりにくくなる。
入社時はどんな人物かわからないから更新をしませんとすると、
では、辞めます って言われないか。
そもそも、求人の応募がこないのではないか。 不安材料が多すぎます。
まとめ
来年4月からの省令改正の対応方法、有期労働契約を更新する場合の基準についてお伝えしました。
ホントに難しいですよね。
実感ですが、どんどん複雑になる労務法規
経営者のみなさん、理解できますか? 理解しようとしていますか?
理解しても理解しなくても、やらないと忘れた頃に辞めた従業員から手紙や内容証明が届き、大変な労力と経済的損失に見舞われます。
うちの会社は大丈夫!
そのお考えは捨ててください。
転ばぬ先の杖 専門家である社会保険労務士にご相談ください。
人を募集する時からです。
数々の悩みに苦しむ経営者の方のお役に立ちたいと思っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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