高年齢者の雇用 間違えない賃金設定のポイント
はじめに
このブログにおいでいただき、ありがとうございます。
みなさんの会社には、60歳前後の従業員さんはいらっしゃいますか?
私は、小さな会社の人事や労務の専門家、社会保険労務士事務所を開業しています。
主に採用とヒトの活用を専門に活動しています。
厚生労働省から、令和4年12月に、令和4年「高年齢者雇用状況等報告」(6月1日現在)の集計結果を取りまとめ、公表されました。
今回のブログは、
少子高齢化の我が国において、高齢者の割合が人口の3割に迫っている現在
高齢者を雇用する企業と、高齢者本人の生活水準の維持に欠かせない賃金の設定について書きたいと思います。
「高年齢者雇用状況等報告」の概要
「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」では、高年齢者が年齢に関わりなく働き続けることができる「生涯現社会の実現」を目指し、企業に「定年制の廃止」や「定年の引上げ」「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置を、65歳まで講じるよう義務付けています。
さらに、令和3年4月1日からは、70歳までを対象として、「定年制の廃止」や「定年の引上げ」「継続雇用制度の導入」という雇用による措置や、「業務委託契約を締結する制度の導入」、「社会貢献事業に従事できる制度の導入」という雇用以外の措置のいずれかの措置を講じるように努めることを義務付けています。
ちょっとむつかしいですね、
まずは年金の受給年齢である65歳までは雇用を義務付け 70歳まで雇用でなくてもいいから、引退させないで という内容です。
そこで、中小企業はどんな対策をしているかの実施状況が公表されています。
・70%の企業は「継続雇用制度の導入」
・25%の企業が「定年の引き上げ」
・約4%の企業は「定年制の廃止」
定年制の見直しよりも、継続雇用制度を実施している会社が多い。
次に、60歳で定年に到達した方のうち 継続雇用された方は、
約87%(子会社・関連会社等での雇用を含む)
継続雇用を希望しない方は、12.7%
継続雇用を希望したが、されなかった方は、0.2%でした。
60歳を超えて継続雇用を行っている企業が一般的になっていることがわかります。
年金受給開始年齢と継続雇用との関係
さて、老後の収入源である老齢年金について簡単にご説明します。
老齢年金は2階建てです。
・老齢基礎年金(1階部分)
・老齢厚生年金(2階部分)
そして、2階部分である「老齢厚生年金」は生年月日によって、男女別に受け取れる年齢が異なります。
これが、すごく複雑なので表をご覧になって、対象の従業員さんがいつから老齢年金が受け取れるのかをご確認するしかないです。
ちなみに、
男性は昭和36年4月2日以降の誕生日の方は65歳から
女性は、昭和41年4月2日以降の誕生日の方が65歳から年金は受け取れません。
それ以前の方は65歳前に受け取れる可能性があり。
1階部分の「老齢基礎年金」は生年月日関係なく65歳からと決まっています。
ということは、高年齢者は65歳までがんばって働いて稼ぐ必要があるということ。
企業は、65歳まで継続雇用をすることになりますね。
雇用保険からの給付金ってご存知ですか?
「高年齢雇用継続給付金」って、聞いたことありますか?
この給付金は、60歳以上65歳未満の従業員さんが対象で、 60歳到達時点の収入と、それ以降の収入を比べて、60歳到達時点の75%未満となっていた場合に支給されます。
すなわち60歳定年制がある企業の従業員が、 定年前の収入と、定年退職後、継続雇用契約の収入の低下割合によって雇用保険から給付金が従業員ご本人に支払われる制度です。
従業員の収入ダウンのギャップを埋めるための制度が高年齢雇用継続給付金です。
支給条件はありますが、この記事では割愛します。
しかし、残念なことにこの制度、縮小・廃止されることが決まりました。
縮小が2025年4月からで、段階的に廃止する方針です。
理由は「65歳までの定年の引き上げ」と「65歳までの継続雇用制度の導入」そして「定年制度の廃止」が義務化された法整備により、65歳以上の高年齢者も働きやすい環境が整ったため。
いやいや、勝手に整ったって言われても困る
中小企業は、人件費に余裕はないよ
そんな叫びが聞こえてきそうです。
本当におっしゃるとおり。
いずれにしても、60歳から年金を受給が始まる65歳までの5年間、賃金の設定を公的な給付金・年金を踏まえて今一度考える必要がありますね。
まとめ
高年齢者の賃金の設定についてお伝えしました。
企業によって、働き方がさまざまですし、 人手不足の日本で、高年齢者の労働力も確保する必要があります。
高年齢者の個々の事情もありますので、労働者と企業とで個別の労働条件を設定するのもよろしいかと思います。
他の従業員との公平さも考える必要があり正直難しいです。
そんな時は専門家である社労士に相談ください。
年金制度の仕組みを考えながらご提案し、一緒に考えていきましょう。
数々の悩みに苦しむ経営者の方のお役に立ちたいと思っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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